ローレンツ変換の導出

図のように2つの直交座標系SとS'がある。
S'はSに対してx軸の正の方向に速度vで等速直線運動しているものとする。
SとS'の原点にはそれぞれ観測者がいる。
Sの観測者が持つ時計とS'の観測者が持つ時計が共に時刻0を指している時、
Sの原点とS'の原点、Sのx軸とS'のx軸、Sのy軸とS'のy軸、Sのz軸とS'のz軸が一致するものとする。
S系の観測者が時刻t、空間(x,y,z)で観測した物理現象は、S'系の観測者から観れば時刻t'、空間(x',y',z')に観える。
従来ではその関係式は、

である。これをガリレイ変換という。
光を観測したとする。Sで光速cで観測した光はS'でも光速cで観測される。これが相対性理論の要請である。
一例として時刻0で原点から発せられた光を考えよう。時刻tで光は(x,y,z)に到達したとする。
S系では、

となり、S'系では

となって、S'系では光速cではなくなってしまう。
(2)式を変形すると、

同じくS'系でも、

であって欲しい。
そのために(1)式のガリレイ変換に変更を加える。
x'、t'はx、tの一次変換だと仮定する。y、zは変わらない。即ち、

(6)を(5)に代入すると

(7)と(4)を比較して

連立方程式(8)を解いて(6)の最初の2式に代入すると

速度の変換式は、

S'系の原点はS'系では速度0だがS系から観れば速度vでx軸方向に進んでいる。従って、

従って

(12)を合理的に符号を考えて(9)に代入すれば

これがローレンツ変換である。
光でなくともこれが成り立つと考えるのである。

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