交流回路の電圧と電流とその複素表示について

 交流回路では電圧、電流を複素数で表すことがあります。
 実部は理由をつけて解釈できたとしても虚部は何を表すのでしょうか。
 実は複素表示では、複素数(a+jb)のその大きさ(√(a2+b2))と偏角(arg(a+jb))のみ意味があるのです。
 例えば電圧1+j[ボルト]というのは何を意味するのでしょうか。
1+j=(√2)(1/(√2)+j1/(√2))=(√2)(cos(π/4)+j sin(π/4))=(√2)exp(jπ/4)
 1+jは大きさの最大値(√2)、偏角π/4の電圧であることがわかります。具体的には
(√2)sin(π/4)[ボルト]=(√2)/(√2)=1[ボルト] です。

問1) 100sin(ωt+π/6)を複素表示して下さい。
答) 100exp{j(ωt+π/6)}

問2) 電圧の瞬時値がv=100sin(ωt)だった場合、インピーダンス3+j4[オーム]の時の
電流の最大値を求めて下さい。
答) 電圧Vは、
V=100exp(jωt)
 電流は電圧をインピーダンスで割ったものだから、
I=V/(3+j4)=100exp(jωt)/{√(32+42)exp(jθ)}
=(100/5)exp{j(ωt-θ)} ここでθ=arg(3+j4)
=20exp{j(ωt-θ)}  ・・・(1)
 今、電流の大きさの最大値のみ知りたいのであるからθの計算は省く。
 求める電流の大きさの最大値は、20[アンペア]である。
解説) (1)の大きさは20、偏角はωt-θだから、その電流の瞬時値iは、大きさと偏角より、
i=20sin(ωt-θ)[アンペア] となる。

参考文献)「教えて?わかった!電気回路」 土井淳著 オーム社 平成23年

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