ヒッグス粒子とヒッグス機構

ラグランジアン密度

(1) L=(1/2)(δμφ)(δμφ)-(1/2)μ2φ2=(1/2)(δμφ)2-(1/2)μ2φ2

をオイラー=ラグランジュ方程式に代入すれば、クライン=ゴルドン方程式

(2) δμδμφ+μ2φ=0

が得られる。従って(1)は、質量μの粒子の場を記述する。(1)の拡張版、

(3) L=(1/2)(δμφ)2-{(1/2)μ2φ2+(1/4)λφ4}

で粒子がタキオンの場合つまりμ2<0、λ>0の場合(μは虚数)

(4) φ=v+η, v=√(-μ2/λ)

とすれば(3)は

(5) L=(1/2)(δμη)2-λv2η2+・・・
=(1/2)(δμη)2-(1/2){√(-2μ2)}2η2+・・・

となり質量√(-2μ2)の場を記述する。

複素スカラー場を考える。

(6) L=(δμφ)*μφ)-μ2φ*φ-λ(φ*φ)2

μ2<0、λ>0の場合を考える。

(7) φ={√(1/2)}(v+η+iε)

と置けば(6)は

(8) L=(1/2)(δμε)2+(1/2)(δμη)22η2+・・・

となりクライン=ゴルドン方程式が出てくるラグランジアン密度を得る。

電磁場(Aμ)を伴った複素スカラー場を考える。

(9) L=(δμ+ieAμ*μ-ieAμ)φ-μ2φ*φ-λ(φ*φ)2-(1/4)FμνFμν

(10) φ={√(1/2)}(v+η+iε)={√(1/2)}(v+η)eiε/v (近似)

ゲージ変換しても物理法則は成り立っているはずだから

(11) Aμ→Aμ+(1/ev)δμε

とする。

すると(9)はεを含む項が消えて、

(12) L=(1/2)(δμη)2-λv2η2+(1/2)e2v2Aμ2-(1/4)FμνFμν+・・・

となる。

(13) L=-(1/4)FμνFμν+(1/2)e2v2Aμ2

の部分はプロカラグランジアン密度と呼ばれ、(1/2)e2v2という係数は質量を表し、
電磁波が 質量を持ったとされる。ηに関するラグランジアン密度はクライン=ゴルドン方程式を出す。ηはヒッグス粒子と呼ばれる。

結論:タキオンを含む場に光速粒子(Aμ:ルクソン)を照射するとヒッグス粒子が生まれ、かつその光速粒子は
質量を持った通常粒子(タージオン:光速より小さい速度を持った粒子)となる(ヒッグス機構)。

タキオン+ルクソン=ヒッグス粒子+タージオン


参考文献:
1.「クォークとレプトン」F.ハルツェン・A.D.マーチン共著 培風館 1986年
2.「素粒子の物理」相原博昭 著 東京大学出版会 2006年
3.「量子場の理論」江澤潤一 著 朝倉書店 2008年
4.「新版 演習場の量子論」柏太郎 著 サイエンス社 2001,2009年
5.「タイムマシンの話-超光速粒子とメタ相対論」都筑卓司 著 講談社 2002年

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